Exadata X10Mについて

先日、オラクル社よりExadataの最新版であるX10Mの発表がありました。
以下は、オラクル社からの製品紹介の抜粋です。

最新のExadata世代は、第4世代のAMD EPYCTMプロセッサを備え、最大3倍のトランザクション・スループットと、最大3.6倍の高速なデータベース・サーバーでの分析問合せにより、大幅なパフォーマンス向上を実現します。

Exadata X10M High Capacity Storage Server では、22%の追加されたデータ容量を保持できるようになりましたが、オールフラッシュのExadata X10M Extreme Flash Storage Serverでは、以前のシステムの容量の2.4倍の容量を提供できるようになりました。

データベース・サーバーは従来と比べて50%大きなメモリー容量をサポートするため、より多くのデータベースと大規模なメモリー集中型のワークロードを同じシステムで実行できるようになりました。

パフォーマンスの向上とストレージ容量とメモリー容量の増加を組み合せることで、すべてのデータベース・ワークロードのコストが大幅に削減され、Exadata X10M High Capacityシステムの価格は前の世代と同じままになります。

お客様のデータ・センターへのデプロイメント用のExadata X10Mプラットフォームには、Exadata Database Machine X10MおよびExadata Cloud@Customer X10Mが提供されます。

出典元:https://blogs.oracle.com/oracle4engineer/post/exadata-x10m-jp

各種マニュアルやデータシートも公開されていますが、現時点では英語版のドキュメントのみです。

ドキュメントの詳細は、以下をご参照ください。
■マニュアル
https://docs.oracle.com/en/engineered-systems/exadata-database-machine/books.html
https://docs.oracle.com/en/engineered-systems/exadata-database-machine/index.html

■データシート
・X10M
https://www.oracle.com/a/ocom/docs/engineered-systems/exadata/exadata-x10m-ds.pdf

■HWスペック
https://xn--w8j8bac3czf5bl7e.com/2020/07/14/exadata-%e6%80%a7%e8%83%bd%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

Exadata X10Mの特徴

今回発表されたExadata X10Mの特徴を纏めてみました。

Exadata X10Mで必要とされる機能(Exadata System Software)の機能については多岐にわたるため、割愛させて頂きます。

製品モデルの変更

今までのバージョンでは、X9M-2やX9M-8のようにマシンスペックによって異なった製品タイプが存在していましたが、X10では高スペック版が存在しません
新バージョンがリリースされるたびに、性能が飛躍的に向上しているので、あえて高スペック版を用意する必要が無くなったのかもしれません。

また、1/8ラックが現時点で提供されておらず、将来利用可能になるとの記載がありました。
こちらについては、冒頭で紹介しましたデータシートの[Exadata Rack Configurations]をご確認下さい。
1/8スケール相当をお考えのお客様につきましては、現状の選択肢としてクラウド環境ではありますが、Baseシステムをお勧めします。

CPUの変更

X9Mまでは、ExadataのDB/ストレージサーバのCPUはIntelでしたが、X10MではAMDが採用されています。
DBサーバのCPUコア数もX9Mの32コア→96コア3倍となり、これにより、データベース サーバー上で最大3倍のトランザクション スループットと最大3.6倍の高速な分析クエリにより、劇的なパフォーマンスの向上を実現できるようになっているようです。

歴代Exadataのコア数推移をグラフ化してみましたが、X9MからX10Mの数増加率の凄さがよくわかると思います。

また、以下はX9MとX10MのCPUベンチマークの結果の比較ですが、X10Mではマルチコアの結果は単純にコア数が多いことで高速であることが明らかですが、シングルコアの結果においてもX10MのAMDのCPUの方が優位である事がわかりました。

ベンチマークを確認した際のサイトとして、以下を参考にしました。
https://browser.geekbench.com/

PMEMの変更

データシートを見たところPMEMという表現が無く、代替としてXRMEM(Exadata RDMAメモリー:DDR5 DRAM)が採用されています。

Oracleのブログ情報によると、

フラッシュ・キャッシュの前にあるメモリー・キャッシュ層で、リモートに格納されたデータへのアクセスに一定の遅延を低減でき、RDMAを使用してリモートからメモリーにアクセスすることで、XRMEM Data AcceleratorはネットワークおよびI/Oスタックをバイパスし、コストの大きいCPU割込み処理、およびコンテキスト・スイッチを排除し、レイテンシを200マイクロ秒から17マイクロ秒未満に10倍以上削減します。

との記載があるので、PMEMと同様にデータへのアクセスのレイテンシーを短縮できることに変わりは無さそうです。
XRMEMに代替することになったことについての言及は特にありませんでしたが、CPUがAMD変わったことでPMEMとAMD CPUの互換性がない事が原因かもしれません。

PMEMの挙動について、以前とあるお客様から頂いた質問なのですが、「HDD上にあるデータ(オブジェクト)を、明示的にPMEM上に乗せることが出来ないか」といったお問い合わせがあったのですが、Exadataソフトウェアの仕様上、特定オブジェクトを任意のタイミングでPMEM上に移動するといった事が出来なかったみたいで、今回XRMEMに代替となったことで、これが実現できないか気になるところです。

ストレージサーバの高スペック化

バージョンアップされるたびにHDDの容量がアップしていますが、X10MのHDD搭載モデルでは、ディスク1つあたりがX9Mと比較して18TB→22TBに増加しています。
かなり昔ですが X2-2では2TBだったので、その頃と比べると11倍に増加しています。

また、フラッシュストレージ サーバー(EFモデル)では、8基のフラッシュドライブのうち4基が、1基あたりプライマリデータストレージ用として従来の6.4TBから30.72 TBのフラッシュに変更されました。

残り4基についても、6.4TBから6.8TBに増加しているため、フラッシュ全体として51.2TBから150.08TB((30.72TB*4=122.88TB)+(6.8TB*4=27.2TB))となり、約3倍に増加しました。

まとめ

今まで以上に高速で高スペックを実現したX10Mが発表されたことで、X9から導入されたRDMA Networkによる高速通信を踏襲し、かつ今まで以上に大容量データをより高速に処理できる環境が実現できるようになりました。

当社では、豊富なExadata導入実績があり、Exadataの再販権も取得していますので、Exadataを購入して頂き、導入まで行うことも可能です。
再版権の取得については、こちらの記事に詳細が記載されていますので、ご参照下さい。

Exadataについて何かご不明なことや、ご興味を持たれたことがございましたら、どんな些細な事でも構いませんので、お気軽に当社までお問合せ下さい。

投稿者プロフィール

DBひとりでできるもん運営チーム
DBひとりでできるもん運営チーム
「DBひとりでできるもん」運営チームです。
「親しみやすさと技術力」をテーマに、技術情報・サービス・インフラ系資格取得に役立つ情報、社員等の情報をお届けします。
70名弱の事業部員で鋭意、執筆中です。
少しでも当社を知って頂けるよう、愛情込めて頑張ります!
※facebook、X(旧twitter)、インスタグラムでは「DBひとりでできるもん」の更新情報を発信しています。