はじめに

みなさんこんにちは。技術チームです。今回は、新発表された「Oracle AI Database 26ai(以降26ai)」についてご紹介したいと思います。

Oracle AI World2025にて発表

Oracle AI World2025にて、LongTermバージョンのデータベースがOracle Database 23ai(以降23ai)から、26aiに置き換えられると発表がありました。

もともと、次世代Database LongTermのバージョンは23cでしたが、その後23aiとなり先日発表された26aiになったという流れです。

26aiの注意事項

注意事項まとめ
・23ai(23.4以上)のインスタンスに23.26.0以上のRUを適用するのみで、インスタンスは26ai
※23aiであればRUの適用のみで製品の再インストールは不要
・現時点で利用可能なプラットフォームは、クラウド、Engineered Systems(Oracle Exadata、Oracle Database Appliance)のみ
※最新のリリース情報については、Doc ID 742060.1を参照してください
・プレミアサポートは2031年12月31日に終了
・Extended Support料金または、ULAによるエラー修正/パッチ適用の終了日は未定

26aiの新機能

26aiについてOracle社から、プレスリリースがありました。以下引用です。

26aiは、AIをデータ管理の中核に組み込み、お客様があらゆる場所のあらゆるデータにAIを安全に導入できるよう支援するというオラクルのコミットメントをさらに推進します。
このマイルストーンは、AIベクター検索、データベース管理のためのAI、データ開発のためのAI、アプリケーション開発のためのAI、アナリティクスのためのAIなど、データおよび開発スタック全体にわたってAIを活用する、オラクルの「AI for Data」ビジョンを前進させるものです。
お客様は、動的なエージェント型AIワークフローを実行し、プライベートなデータベースデータと公開情報を組み合わせた高度な回答とアクションを提供できるようになります。

企業全体のAIと分析

新機能の詳細については、公式ページの内容を引用しております。

Oracle Autonomous AI Lakehouse

Apache Icebergオープンテーブル形式をサポートし、真のエンタープライズ規模のAIとアナリティクスを実現します。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudの4大ハイパースケーラーすべてで利用可能で、同じクラウド上でDatabricksおよびSnowflakeとの相互運用性も実現しています。
Autonomous AI Lakehouseにより、お客様は既存の投資を活用し、ビジネスニーズに合わせてAutonomous AI LakehouseのAIメリットを享受できます。
Autonomous AI Lakehouseは、Exadataベースのパフォーマンスと従量課金制のサーバーレス・スケーリングを実現します。

Oracle Autonomous AI Lakehouseの詳細については、こちらをご覧ください。

基礎的なAIテクノロジー

統合ハイブリッドベクター検索

AIベクター検索をリレーショナル、テキスト、JSON、ナレッジグラフ、空間検索と組み合わせることで、関連するドキュメント、画像、動画、音声、構造化データの取得を可能にします。
お客様はAIベクター検索とLLMを簡単に組み合わせてプライベートデータを検索し、LLMでパブリックデータと組み合わせることでビジネス上の課題への回答を得ることができます。

MCPサーバーサポート

LLMを搭載したAIエージェントが組織のデータベースにアクセスし、反復的な推論を用いて質問に答えることを可能にします。
AIエージェントは複数のソリューションパスを探索し、分析中に追加データを要求することで、より正確で優れた結果を生成できます。

組み込みのデータプライバシー保護

データベースに高度なセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスルールを適用します。
エンドユーザー固有の行、、セルレベルのデータ可視性に加え、不正なデータの動的なマスキングなどの対策が講じられます。
さらに、AIがSQLやその他のAPIを使用してデータベースに直接アクセスする際に、個人データを漏洩させることなくアクセスできるようにします。

Oracle Exadata for AI

最大限のパフォーマンスと可用性を実現するためにハードウェアとソフトウェアが連携して設計されており、AIを大規模に加速します。
Exadataは、AIベクトルクエリをExadataインテリジェント・ストレージにオフロードすることで、クエリを大幅に高速化できます。
ベクトルオフロードは、新しいExadata Exascaleソフトウェア・アーキテクチャとも連携し、極めて高い弾力性と低コストを実現することで、Exadataのメリットを小規模なワークロードや組織にも広げます。
さらに、独自のRemote Direct Memory Access(RDMA)アルゴリズムは、ストレージから、そしてクラスタ内のノード間で超低レイテンシかつ高スループットのデータアクセスを可能にし、AIをさらに加速します。
自動データ階層化は、メモリの低レイテンシ、フラッシュの高IOPS、ディスクの大容量を実現するとともに、ハイブリッド列圧縮(HCC)を使用してストレージの占有スペースを削減します。
最後に、Exascale Infrastructure上のExadata Database Serviceは、OCI、Azure、Google CloudでOracle Database 19cをサポートし、より幅広いワークロードでExadataの優れたパフォーマンスとスケールを活用できるようにします。

プライベートAIサービスコンテナ

埋め込みモデル、オープンウェイトLLM、固有表現抽出器などのAIモデルのプライベートインスタンスを実行するための、構築済み・テスト済みの環境を提供します。
このコンテナを利用することで、サードパーティのAIプロバイダーとのデータ共有を回避できるため、AIワークロードのセキュリティ強化に役立ちます。
このコンテナは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスなど、お客様のテナンシー内であれば、どこにでも展開可能です。

NVIDIAによるAIデータベース・アクセラレーション

LLMプロバイダーとの統合を可能にする 26ai APIは、 NVIDIA NeMo Retrieverマイクロサービスとの統合もサポートしています。この機能により、26aiは、事前にプロビジョニングされたNVIDIA NIMマイクロサービスを使用して、ベクター埋め込みモデルを実行したり、RAGパイプラインを実装したりできます。
さらに、現在CPUリソースでの実行をサポートしている「Oracle Private AI Services Container」は、将来的には、NVIDIA cuVS(GPUアクセラレーション・ベクター・サーチ)ライブラリのCAGRA (CUDA ANN GRAphベース・アルゴリズム) を使用したベクター埋め込みおよびインデックス生成のためのNVIDIAアクセラレーション ・コンピューティングの利用もサポートするように設計されています。

※NVIDIA 社だけなく、AMD社の次世代チップ「MI450」をデータセンター向けコンピューターにMI450を5万基搭載する計画も進んでいるようです。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-14/T44G26GOYMTE00

アプリケーション開発のためのAI

データアノテーション

データの目的、特性、セマンティクスをAIに説明するのに役立ちます。
この追加情報は、AIがより優れたアプリケーションを生成し、自然言語による質問に対してより正確な回答を提供するのに役立ちます。

統合データモデル

リレーショナル、JSON、グラフデータモデルが統合され、大幅な簡素化が実現しました。
これにより、アプリケーションはSQL、JSONドキュメント、グラフなど、リレーショナル形式で同じデータにアクセスできるようになるため、開発者の生産性が向上します。

Select AI Agent

シンプルで安全かつスケーラブルなデータベース内フレームワークを使用して、Oracle Autonomous AI Database内でAIエージェントを構築、導入、管理できます。
カスタムおよび構築済みのデータベース内ツール、REST経由の外部ツール、MCPサーバーをサポートし、複数ステップのエージェントワークフローの自動化、イノベーションの加速、組織のデータ安全確保を支援します。

AIプライベート・エージェント・ファクトリー

ノーコードAIエージェント・ビルダーとデプロイメント・フレームワークを提供します。
これらのエージェントは、Oracle AI Databaseの統合データ・アーキテクチャのパワー、パフォーマンス、スケーラビリティ、そしてセキュリティを最大限に活用できます。
お客様が選択したあらゆる環境でコンテナとして実行され、データセキュリティを強化します。
サードパーティのクラウド上のエージェント・フレームワークとデータを共有する必要もありません。

APEX AI アプリケーション ジェネレーター

開発者の生産性を向上させるために、Oracle は、自然言語インタフェースを使用してユーザーの質問に信頼できる回答を提供し、エンタープライズ グレードのビジネス アプリケーションを生成する次世代の APEX 開発ツールを提供する予定です。

ミッションクリティカルなイノベーション

Oracle Database Zero Data Loss Cloud Protect

OCIで実行されるOracle Zero Data Loss Recovery Serviceを使用して、オンプレミスのOracleデータベースをデータ損失やランサムウェアから保護します。
これには、データベースの変更に対するリアルタイム保護が含まれ、任意の時点への迅速なリカバリを可能にします。

グローバル分散データベース

単一の論理データベースを複数の部分に分割し、異なるサーバーに保存することで、極めて高いスケーラビリティとデータ主権を実現します。
RAFTベースのレプリケーション機能を搭載し、マルチマスター構成のアクティブ/アクティブ分散データベースを3秒未満でデータ損失ゼロのフェイルオーバーを実現します。

True Cache

アプリケーション透過性に優れた独自の中間層キャッシュを提供し、トランザクションの一貫性を自動的に確保します。
開発者は、キャッシュへのデータの格納と管理のためにコードを記述する必要はありません。
True Cacheは、Oracle AI Databaseの豊富な機能を中間層キャッシュに提供します。
Oracle SQL、Vector、JSON、Spatial、Graphクエリ機能もすべてTrue Cache経由で利用できます。

SQL ファイアウォール

不正な SQL アクティビティやインジェクション攻撃に対するデータベース内のスケーラブルな保護を提供し、データベース内のすべてのデータのセキュリティを強化します。

26ai Free版の提供

26aiのFree版も提供されていますので、こちらをご参照ください。

現時点で提供されている環境は以下の通りです。
・Oracle Linux 8 (OL8):oracle-ai-database-free-26ai-23.26.0-1.el8.x86_64.rpm
・Oracle Linux 9 (OL9):oracle-ai-database-free-26ai-23.26.0-1.el9.x86_64.rpm
・Oracle Enterprise Linux 8 (EL8):oracle-ai-database-preinstall-26ai-1.0-1.el8.x86_64.rpm
・Oracle Enterprise Linux 9 (EL9):oracle-ai-database-preinstall-26ai-1.0-1.el9.x86_64.rpm

今のところ、26aiのVirtualBox(.ovaファイル)は提供されていないようです。
個人的にはこの方法が一番早く環境を作成できるので、追加されるのを待ちたいと思います。
おそらく今までと手順は変わらないと思いますが、追加され次第、手順検証として作成手順を公開させて頂きます。

まとめ

現時点で、Engineered Systemsや、OC以外のプラットフォームがリリースされていないため、今後64bit版がリリースされ次第、インストール検証等を行う予定です。
26aiのドキュメントは提供されていますので、インストールの事前確認をしておこうと思います。
各種ドキュメントについては、こちらをご参照ください。

最後になりますが、弊社にはデータベースに関わるエンジニアが多数在籍しておりますので、何かご不明なことやご興味を持たれたことがございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。

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