Exadata X11M について(機器構成)

少し前にExadata X11Mについて紹介させて頂きましたが、当時機器構成パターンについて一部確認できていなかったことがありましたので、今回はその確認内容について記載させて頂きます。

今回の執筆者は Exadata X11M についても執筆しています。是非ご覧ください!

過去のExadataに関する記事はこちら

おさらい

まずは、X11MX11M-Zオプションについてのおさらいです。

X10MからX11Mの大きな変更点として、データベースサーバーX11MストレージサーバーX11Mに加え、データベースサーバーX11M-ZストレージサーバーX11M-Zのオプションが追加されました。

X11Mオプションは、X10MでいうところのElastic構成(Quarter Rack以上で構成可能)に相当するサーバーです。

X11M-Zオプションは、X10MでいうところのEighth Rack のサーバーに相当するスペックのサーバーのため、各サーバーのCPUはX11Mオプションの半分(1CPU)で、且つ一部容量や性能がダウンしています。

なお、X11M-ZオプションはHCモデルのみで、EFモデル(HDDの代替としてフラッシュを使用)には用意されていません。
また、X11MではXTモデル(CPUがHCモデルの半分、HDDは同等、フラッシュが未搭載)がどちらのオプションにも用意されておらず廃止となった可能性があります。

詳細な性能情報については、以下をご確認下さい。

この内容を踏まえ、前回記事ではX11MオプションX11M-Zオプションのハイブリッドな組み合わせが可能になりますとお伝えしました。
※もちろん、今まで通りデータベースサーバーをX11MストレージサーバーをX11Mもしくは、データベースサーバーをX11M-ZストレージサーバーをX11M-Zの組み合わせとすることも可能です。

ハイブリッドな組み合わせについて前回の記事の説明では、以下の図を見てもわかる通りデータベースサーバーX11M-Zでは、ストレージサーバーX11MもしくはストレージサーバーX11M-Zのハイブリッド構成が出来るのに対し、データベースサーバーX11Mでは、ストレージサーバーX11Mのみの構成しか取れないように見受けられます。

出典元:データシート20ページ目
https://www.oracle.com/a/ocom/docs/engineered-systems/exadata/exadata-x11m-ds.pdf

そこで、このデータシート以外にハイブリッドな構成に関する具体的な記載が見あたらなかったので、ドキュメントの観点以外から確認してみることにしました。

OECA

確認するための手段として、OECA(Oracle Exadata Configuration Assistant)というExadata構成のシミュレーションが出来るツールを使用しました。

OECAは、以下のサイトからダウンロードできます。

サイトからOECAのダウンロードリンクを押下し、OECA のファイル(V1048070-01.zip)をダウンロードします。

ダウンロードして解凍したら、「V1048070-01」⇒「Web」⇒「index.html」のファイルを開きます。

メイン画面が表示されます。

OECAを使って、サーバーの台数を指定すると、「Rack1」の箇所に実際に搭載されるサーバーのラック図が表示され、左側にサーバー全体の重量や消費電力、右側に性能やパフォーマンス、ラック構成判定などが表示されます。

実際にExadataを導入するの検討フェーズで、データセンターの耐荷重や電力要件を満たしているかといったシミュレーションも事前に可能です。
上記の状態では何もサーバーを選択していないので、「Rack1」には何も表示されていません。

なお、サーバー以外にもExadataの構成機器であるPDU/RoCEスイッチ/管理スイッチ/OASG(オプション:Platinumサービスで使用)の変更/追加も可能ですが、ここではデータベースサーバーとストレージサーバーの組み合わせの確認のため、説明は割愛します。

検証

前置きが長くなりましたが、サーバーX11MサーバーX11M-Zの組み合わせを確認したいと思います。

パターン1:データベースサーバーX11M-ZストレージサーバーX11M

データシートの抜粋画像にもあるように、このパターン1構成は有効なはずですが、念のための確認です。

  1. 「Rack Information」から「X11」を選択します。
  2. 「Database Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-Z DB」を選択し、台数を2台(標準構成)以上に増やします。
  3. 「Storage Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-HC」を選択し、台数を3台(標準構成)以上に増やします。

右下の「Rack Validity Status」が「VALID」となっているので有効な構成です。

パターン2:データベースサーバーX11MストレージサーバーX11M-Z

パターン1の逆の構成で、ストレージサーバーのみがX11M-Zオプションを選択した構成です。

  1. 「Rack Information」から「X11」を選択します。
  2. 「Database Server Generation/Type 」から「Exadata X11M DB」を選択し、台数を2台(標準構成)以上に増やします。
  3. 「Storage Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-HC-Z」を選択し、台数を3台(標準構成)以上に増やします。

右下の「Rack Validity Status」が「VALID」となっているので、このパターンも有効な構成であることがわかりました。

パターン3:データベースサーバー2台 + ストレージサーバー3台の標準構成 + サーバー追加

データベースサーバー(「Exadata X11M-Z DB」)2台、ストレージサーバー(「Exadata X11M-HC」)3台の標準構成に、サーバーを混在オプションで追加する場合です。

データベースサーバー(「Exadata X11M DB」)1台、ストレージサーバー(「Exadata X11M-EF」)1台、ストレージサーバー(「Exadata X11M-HC-Z」)1台、を追加してみます。

  1. 「Rack Information」から「X11」を選択します。
  2. 「Database Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-Z DB」を選択し、台数を2台(標準構成)以上に増やします。
  3. 「Database Server Generation/Type 」から「Exadata X11M DB」を選択し、台数を1台追加します。
  4. 「Storage Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-HC」を選択し、台数を3台(標準構成)以上に増やします。
  5. 「Storage Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-EF」を選択し、台数を1台追加します。
  6. 「Storage Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-HC-Z」を選択し、台数を1台追加します。

右下の「Rack Validity Status」が「VALID」となっているので、このようにオプションが混在したサーバー追加パターンでも有効な構成であることがわかりました。

パターン4:データベースサーバー2台(混合構成) + ストレージサーバー3台(混合構成)

データベースサーバーおよびストレージサーバーの標準構成内でX11MオプションX11M-Zオプションが混在する場合です。

  1. 「Rack Information」から「X11」を選択します。
  2. 「Database Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-Z DB」を選択し、台数を1台にします。
  3. 「Database Server Generation/Type 」から「Exadata X11M DB」を選択し、台数を1台追加します。
    ※標準構成未満の状況のためインクリメントできません。台数が0のままです
  4. 「Storage Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-HC」を選択し、台数を2台にします。
  5. 「Storage Server Generation/Type 」から「Exadata X11M-HC-Z」を選択し、台数を1台追加します。
    ※標準構成未満の状況のためインクリメントできません。台数が0のままです。

画像だけだと伝わりにくいかもしれませんが、混合構成にすることが出来ませんでした。

まとめ

OECAを使って分かったことを以下に纏めます。

  • データベースサーバー2台、ストレージサーバー3台の標準構成は必須で、以降は各サーバーで1台ずつの追加が可能。
  • データベースサーバーとストレージサーバーそれぞれで、X11Mオプション / X11M-Zオプションの組み合わせが可能。
  • 標準構成から台数を減らしたり、標準構成内で別々のオプション(X11M / X11M-Zの混在)とすることは不可能。

パターン3および4の構成はそもそも案として考えにくいかもしれませんが、パターン1と2の結果から、データベースサーバーとストレージサーバーそれぞれで、X11Mオプション / X11M-Zオプションを混在した構成が可能であることがわかりました。

これにより、お客様としてもより柔軟で最適なサーバー構成を選択する事ができますので、コストを抑えたシステム設計が可能になるのではないでしょうか。
1例としてCPUの場合ですが、X11Mオプションの場合サーバーのCPUは2つですので、CoDによるコア制限をしない場合ライセンスも余計にかかりますので、X11M-Zオプションのサーバースペックが許された環境であればコスト削減できます。

今回は、X11Mから追加となった構成パターンについて説明しましたが、弊社では豊富なExadata導入実績があり、Exadataの再販権も取得していますのでExadataを購入して頂き、導入まで行うことも可能です。

再版権の取得については、こちらの記事に詳細が記載されていますので、ご参照下さい。

Exadataについて何かご不明なことや、ご興味を持たれたことがございましたら、どんな些細な事でも構いませんので、お気軽に当社までお問合せ下さい。

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DBひとりでできるもんを盛り上げるべく、技術チームが立ち上がり早6年。ひとりでできるもんと言いつつ、技術者が読んでプッとなるような、極めてピンポイントでマニアックな技術ネタを執筆しています!