みなさん、こんにちは。
Oracle APEX 検証チームです。

今回はOracleが提供するローコード開発環境「Oracle APEX(エーペックス)」において、
新たに追加された「生成AIサービス」を活用した動的アクションの検証を行いました。
コードを書かずにチャット形式のAI連携アプリを作成できる点に注目し、実際の動作確認を通じて
その使い勝手や注意点をまとめています。

今回の執筆者は以下の記事に登場しています!
Oracle Certified Java Programmer, Bronze SEを取得しました!

過去のOracle Apexの記事はこちら

Oracle APEXとは?

Oracle APEXは、Oracle Database上で動作するローコード開発プラットフォームです。
ブラウザベースのGUIでWebアプリケーションを簡単に作成でき、SQLやPL/SQLの知識があれば
業務アプリを素早く構築可能です。

特にOracle Databaseとの親和性が高く、データベースの強みを活かした開発が得意です。

動的アクションとは?

Oracle APEXの「動的アクション」とは、ユーザーの操作やイベントに応じて画面の挙動を制御する仕組みです。
例えば、ボタンを押したときに特定の処理を実行したり、入力項目の値に応じて表示内容を変えたりできます。

JavaScriptやPL/SQLの知識がなくてもGUIで設定できるため、開発効率が向上します。

検証の目的

Oracle APEXに新たに搭載された「生成AIサービス」を使い、動的アクションとしてチャット形式の
AI応答機能を実装できるかを検証しました。

これにより、コードを書かずにAIチャットボットのようなインタラクティブな機能をアプリに組み込めるかを確認します。

検証環境と前提

  • Oracle APEX 24.2(2025年1月時点の最新バージョン)
  • Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上のOracle Autonomous Database
  • 生成AIサービスの作成手順は割愛(OCIコンソールで事前に生成AIインスタンスを作成済み)
  • Oracle APEXアプリケーションは標準のワークスペースで作成

検証

1. 動的アクション「AIアシスタントの表示」

動的アクション「AIアシスタントの表示」を利用してアプリケーションにチャットボットを
表示していきます。

まずはOracle APEXのワークスペースにログインします。

画面上部の「アプリケーション・ビルダー」をクリックします。

 

ページを追加する対象のアプリケーションをクリックします。

 

機能を追加するページを選択します。今回はホーム画面に追加していきますので、ホーム画面のページを選択します。

 

まずは動的アクションを設定するボタンを配置していきます。
画面左のBodyを右クリックし、「ボタンの作成」をクリックします。ボタン名、ラベルは任意で入力します。

 

 

 

画面左にある設置したボタン名を右クリックし、「動的アクションの作成」をクリックします。
動的アクションの識別名は任意のものを入力します。

 

Trueアクションにて「AIアシスタントの表示」を選択します。

 

生成AIにて、サービスには事前に構成した生成AIサービス「oci_cohere」を選択します。

システム・プロンプトには「質問に対して簡潔に回答すること」と入力します。

ようこそメッセージには「質問を入力してください。」と入力します。

外観の表示形式についてはダイアログとし、タイトルは「チャットボット」と入力します。

ここまでの編集を保存して、アプリケーションを実行していきます。

 

アプリケーションにログインします。

ホーム画面に「チャットボットを表示」のボタンが表示されているのでクリックします。
そうしますと、ダイアログが表示され生成AIと会話することができます。

 

 

続いて、外観をインラインにしてみます。
ホーム画面の編集画面に戻り、外観タブの表示形式にてインラインを選択します。

 

コンテナ・セレクタにはインラインを表示する静的コンテンツの静的IDが必要となるため、あらかじめ
「#chat-inline」と入力しておきます。

 

画面左のBodyを右クリックし、「リージョンの作成」をクリックし、タイプは「静的コンテンツ」で
名前は任意のものとします。

静的IDを「chat-inline」とします。
ここまでの編集を保存して、アプリケーションを実行していきます。

 

先ほどと同様にボタンをクリックすると、ボタンのすぐ下にインライン形式のチャットが表示されます。

こちらの動的アクションの使用例としましては、FAQボットやユーザーが自由に質問できるインタラクティブなUIとして使用など、継続的な対話で業務のアシストをさせることケースが挙げられます。

2. 動的アクション「AIによるテキスト生成」

動的アクション「AIによるテキスト生成」を利用して一問一答のような機能を追加していきます。
先ほどチャットボットを作成したホーム画面に追加していきます。
ホーム画面の編集画面を開いて画面左のBodyを右クリックし、「リージョンの作成」をクリックし、タイプは「静的コンテンツ」で名前は任意のものとします。

入力欄、回答欄用のアイテム「テキスト領域」をテキスト生成用の静的コンテンツに配置します。

質問欄用のアイテムの下にボタン「Text [ホット]」を配置します。

ボタン名、ラベルは任意で入力します。

画面左にある設置したボタン名を右クリックし、「動的アクションの作成」をクリックします。

Trueアクションにて「AIによるテキスト生成」を選択します。

 

生成AIにて、サービスには事前に構成した生成AIサービスを選択します。
システム・プロンプトには「質問に対して有益な情報を引き出して丁寧かつわかりやすく回答すること」と入力します。

入力値のアイテムには質問欄用のアイテムを、レスポンスの使用のアイテムには回答欄用のアイテムを設定します。

ここまでの編集を保存して、アプリケーションを実行していきます。

 

画面の質問入力欄に文を作成して送信ボタンをクリックすると、AIによるテキスト生成で回答が表示されます。

 

こちらの動的アクションの使用例としましては、レポートや要約の作成、メール本文の自動作成など、特定の入力に基づいてテキストを生成させることが挙げられます。

メリット・要考慮点

メリット

  • プログラミング不要でAIチャット機能を簡単に組み込める。
  • Oracle APEXの既存機能とシームレスに連携できるため、業務アプリの付加価値向上に貢献。
  • システム・プロンプトの設定次第でより質問に寄り添った回答が生成される。

要考慮点

  • 生成AIサービスの利用にはOCIのリソース課金が発生するため、コスト管理が必要。
  • APIレスポンスの遅延や障害時の影響を考慮した設計が求められる
  • 生成AIの回答内容が必ずしも正確とは限らず、業務用途での利用には監査や検証が不可欠。

おわりに

今回はOracle APEXのAI関連の動的アクションを試してみました。
今後も、Oracle APEXとAI機能の詳細について検証を進めていきます。

Oracle APEXに関してお困りごと、貴社での活用方法のご提案が御入用でしたら、ぜひ当社へご相談ください。

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投稿者プロフィール

技術チーム
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DBひとりでできるもんを盛り上げるべく、技術チームが立ち上がり早8年。ひとりでできるもんと言いつつ、技術者が読んでプッとなるような、極めてピンポイントでマニアックな技術ネタを執筆しています!
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