はじめに

みなさん、こんにちは!
前回、Oracle23cの正式リリース の記事を記載しましたが、ご覧頂けましたでしょうか?
今回はOracle23aiのお話を致します。

最新のLongTermバージョンのデータベースは、Oracle Database 23cとしてリリースされる予定でしたが
先日Oracle社よりOracle Database 23aiと変更になると発表がありました。

画期的な AI テクノロジーが重要だからというのが変更の理由らしいです。

AIというと、ChatGPTのようなAIツールで調べたいことを質問すると答えがすぐに入手できたり、
生成AIに関連した半導体銘柄が市場を牽引して日経平均が史上最高額の4万円を更新したり、
ビデオゲームの画質の向上やフレームレートの改善などを実現するDLSSによってレイトレーシングが品質向上するといったように何かと話題に出てくるので、
興味を持たれている方も多いのではないでしょうか?


aiの名前変更と共に、OCI以外で2024年上半期予定となっていたプラットフォーム製品についてもリリースされると思いましたが、
製品リリースのドキュメント(DocID 742060.1)
を確認する限りではまだのようで、2024/05/03時点ではOCIおよびFree版のみが使用可能です。
ただ、上半期にリリース予定ですので、まもなくだと思います。

Free版はVirtualBoxを用意するだけで使えますので、興味のある方は以下のサイトからダウンロードしてみてくださいね!
https://www.oracle.com/database/free/get-started/
なお、VirtualBox版はLinux8ですが、RPM版ではLinux9も選択できます。

AI Vector Search

Oracle Database 23ai(23.4以降)では、新世代のAIモデルを活用してベクトルを生成および保存できる強力な新テクノロジーであるAI Vector Searchを導入しています。

AI Vector Search とは、
通常データベースではドキュメント/画像/ビデオ/サウンドなどのような非構造化データを、データベースの表に数字の情報として格納する事が出来ませんが(バイナリ型のデータとして保存は可能ですが)、
このような非構造化データを数値ベクトルとして扱うことでデータベースに格納し、その情報をSQL文から抽出可能になるというものです。

以下は、ドキュメント情報や画像をデータベースに格納する時に、ベクトル数値に変換されるイメージです。

出典元:https://speakerdeck.com/oracle4engineer/ocwc_20240228_genai?slide=41

このように蓄積されたベクトル数値を元に、質問(質問のベクトル)と近似値の数値ベクトルを検索して結果を返すことが出来ます。

出典元:https://speakerdeck.com/oracle4engineer/ocwc_20240228_genai?slide=20

上記のように、近似値の数値ベクトルが存在していれば、質問の意図に近い結果を返してくれますが、
存在していない場合に強引に結果を返そうとすることで、ハルシネーションが発生します。
AIツールで質問に対して、的外れな答えが返ってくるのがよい例ではないでしょうか。
より多くのデータを用意してAIに繰り返し機械学習させることで、より精緻な答えが得られるようになります。

また、Oracle Database23ai では、以下のように質問文を投げるだけで、自然言語によるSQLに変換してくれますので
複雑なSQLを考える必要もなくなり、生産性の向上も期待できますね!

出典元:https://speakerdeck.com/oracle4engineer/ocwc_20240228_genai?slide=46

AI Vector SearchはOracle Database 23aiの一部であり、Enterprise Edition、Standard Edition 2、Database FreeおよびすべてのOracle Databaseクラウド・サービスで追加料金なしで利用できます

環境構築

Free版の環境構築については、以前の記事でも紹介していますので詳細な手順は割愛します。
まったく同じ手順で設定できましたので、以下をご参照ください。

Oracle Database 23c Free–Developer Releaseを使ってみました!

データベース確認

sqlplusにて23ai環境に接続することが出来ました。

AI Vector Searchが利用可能な23.4以上のバージョンとなっています。
24.05 は2024年5月を意味していると思われますが、今後正式版でも同様の表記になるのでしょうか。

初回インストール時に、その時点の最新版パッチが含まれたインストーラが都度提供されると、インストールが簡素化できて、構築作業がかなり楽になりそうですね!

まとめ

今までは、データベースエンジニアの仕事というと、データベースの設計構築や、運用保守がメインとなっている方も多いかと思いますが
23aiに変わり、データベースのデータに対してAIを活用して、お客様のビジネスに貢献していくといった
データサイエンティストのようなスキルも必要になってきそう
です。

OCIの資格においても、2023年から以下のAI関連資格がリリースされています(他にもあるかもですが)。
Foundations Associateは無償で受験できますので、AIに関して興味があって学びたい方は、
受験されてみては如何でしょうか。

  • Oracle Cloud Infrastructure 2023 AI Foundations Associate
    受験サイトはこちら
  • Oracle Cloud Infrastructure 2024 Generative AI Professional
    試験の詳細はこちら

最後になりますが、弊社にはAIの技術力に特化したエンジニアも多数在籍しておりますので、何かご不明なことやご興味を持たれたことがございましたら、お気軽に当社までお問合せ下さい

投稿者プロフィール

技術チーム
技術チーム
DBひとりでできるもんを盛り上げるべく、技術チームが立ち上がり早6年。ひとりでできるもんと言いつつ、技術者が読んでプッとなるような、極めてピンポイントでマニアックな技術ネタを執筆しています!