Exadata X11M について
先日、Oracle社よりExadataの最新版であるX11Mの発表がありました。
通常であれば、およそ2年程度あけて新モデルが発表されることが多かったのですが、今回は1世代前のX10M発表からまだ1年半程度しか経っていませんでした。
それからしばらくしてStargate Projectの発表があり、今後4年間でOracle、ソフトバンクグループ、Microsoft、NVIDIAなどの企業による約77兆円の巨額規模の投資が行われるようですが、そのAIインフラストラクチャの構築基盤として新たにX11Mが採用されることを想定して早めに発表されたのかと思いました。
今回の執筆者は 【名称変更!】Oracle Database 23c → Oracle Database 23ai に変わりました!も執筆しています。是非ご覧ください!
過去のExadataに関する記事はこちら
以下はOracle社からのX11M製品紹介の抜粋です。
- 最新世代のAMD EPYC™プロセッサ向けに最適化された「Exadata X11M」は、競合するデータベース・システムと比較して、桁違いに高いパフォーマンスを実現します。
- 「Exadata X11M」のパフォーマンスは、ワークロード全体で向上しており、AIではベクトル検索の大幅な高速化、トランザクション処理ではIOPSの大幅な高速化とレイテンシの短縮、分析ではデータスキャンとクエリ処理能力の大幅な高速化が実現しています。フラッシュとExadata RDMA Memory (XRMEM) の両方でデータをスキャンできる「Exadata X11M」は、比類のない分析スループットを実現します。これらの機能強化は前世代の「Exadata X10M」と同じ価格で提供され、お客様は同じサイズのプラットフォームでより多くの作業を実行し、コストを削減できます。
- 「Exadata X11M」にはインテリジェントな電力管理機能が直接組み込まれているため、不要なCPUコアをオフにしたり、電力消費量の上限を設定したり、使用率が低い期間に電力利用率を最適化したりすることで、エネルギー効率とサステナビリティの目標達成を支援できます。
- 「Exadata X11M」は、オンプレミス、または「Exadata Database Service on Exadata Cloud@Customer」および「Autonomous Database on Exadata Cloud@Customer」、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」、マルチクラウド環境に導入できます。
- マルチクラウド環境では、「Oracle Database」はOCI、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureデータセンターの「Exadata X11M」上で実行されます。
- 最新の『Exadata X11M』は、AWS、Azure、Google Cloudなどのハイパースケーラーで『Oracle Database 23ai』を稼働させる場合でも、オンプレミス・インフラストラクチャ上で主要なベンダーを上回るパフォーマンスを実現する場合でも、企業が『Oracle Database』のワークロードにとって最適な環境を選択し、最高のパフォーマンスを得られるようにします。
出典元:https://www.oracle.com/jp/news/announcement/oracle-introduces-exadata-x11m-platform-2025-01-07/
Oracle社のX11M紹介動画にもわかりやすい説明が記載されていましたので、こちらもご確認下さい。
出典元:https://www.youtube.com/watch?v=cngOjZkXTRA
データシートも確認したところ、X10Mからディスクやメモリの容量の観点では変わっていないようですが、HWのスペックが変わったことで上記説明にもあるように、より処理の高速化を実現しています。
各種マニュアルやデータシートも公開されていますが、現時点では英語版のドキュメントのみです。
ドキュメントの詳細は、以下をご参照ください。
- マニュアル
https://docs.oracle.com/en/engineered-systems/exadata-database-machine/books.html
https://docs.oracle.com/en/engineered-systems/exadata-database-machine/index.html - データシート
- HWスペック
https://docs.oracle.com/en/engineered-systems/exadata-database-machine/dbmso/hardware-components-oracle-exadata-database-machine.html
Exadata X11Mの特徴
今回発表されたExadata X11Mの特徴を纏めてみました。
各HWスペックの向上
各HWについて、先述したように容量の観点ではX10Mと変わっていないようです。
これは、容量的にはもう十分であることの裏返しで、処理高速化を追求して設計されたかのようにも見えます。
CPUの性能(CPUはX10Mから引き続きAMD)やメモリがDDR5になったり、NICがPCIe 5.0になったりHWがより上位モデルが採用されています。
またExadataでは、2025年1月時点でデータベースソフトウェアの最新バージョンである23aiに対応していますが、一般的なIAサーバー(x86-64)については対応していませんので、これからデータベースでAIの機能(ベクトル検索処理)を高速に実現出来るシステム構築を検討されていたり、プレミアサポートの期間がより長いバージョンである23aiのデータベースを利用したいと思われているお客様にとっても、Exadataを採用するメリットはあるかと思います。
各OSのソフトウェア対応状況については、My Oracle Supportのドキュメント「Release Schedule of Current Database Releases (Doc ID 742060.1)」をご参照下さい。
以下の図は、Doc ID 742060.1の抜粋ですが、19cの方がExtended Supportを含めると23aiよりも長期間サポートされていますが、Premier Supportだけに限ると23aiの方が2年長くなっています。
このロードマップは適宜更新されることが多いので、定期的にご確認頂くことを推奨します。
また、一般的なIAサーバーでOracleを構築すると、データベースサーバー/ストレージサーバー/OS/NW機器それぞれ別ベンダーの選定による構築パターンもあるかと思います。Exadataでは、NW機器(スイッチ)のみCiscoですが、それ以外は全てOracle社製ですの。スイッチはCiscoですが、窓口としてはOracle社にて受付可能ですのでサポートの問い合わせ窓口が一本化されており、障害等のエスカレーションもスムーズに行えます。
より柔軟になった機器構成
X10MからX11Mの大きな変更点として、データベースサーバーX11MとストレージサーバーX11Mに加え、データベースサーバーX11M-Z、ストレージサーバーX11M-Zのオプションが追加されました。
X11M サーバーは、X10MでいうところのElastic構成(Quarter Rack以上で構成可能)のサーバーで、X11M-Zサーバーは、X10MでいうところのEighth Rack のサーバーに相当するスペックのサーバーです。
これだけを聞くと、サーバーのネーミングが変わっただけに思われるかもしれませんが、X11Mでは、X11MサーバーとX11M-Zサーバーのハイブリッドな組み合わせが可能になります。
X10では、例えばEighth Rackを選択すると、Elastic構成(Quarter Rack以上で構成可能)のサーバーは選択できませんでした。
それがX11Mでは可能となり、例えばデータベースサーバーの能力はそれほど必要としていないがデータ容量が多いシステムを構築する場合、データベースサーバーはデータベースサーバーX11M-Zを選択し、ストレージサーバーはストレージサーバーX11Mの構成とすることで、より効率的なコスト削減が可能になり実情に合ったサーバー構成を実現できます。
構成パターンの組み合わせについては、以下のデータシートの抜粋部分をご参照ください。
まとめ
Exadataは新しいモデルに変わるたびにスペックが向上し、処理の高速化を実現してきましたが、X11Mではそれに加え新しいサーバーのオプション体系が追加されたことで、柔軟にサーバーを選択する事が可能となり、よりシステムの実情に見合った構成が可能になりました。
弊社では、豊富なExadata導入実績があり、Exadataの再販権も取得していますのでExadataを購入して頂き、導入まで行うことも可能です。
再版権の取得については、こちらの記事に詳細が記載されていますので、ご参照下さい。
Exadataについて何かご不明なことや、ご興味を持たれたことがございましたら、どんな些細な事でも構いませんので、お気軽に当社までお問合せ下さい。
投稿者プロフィール
- Oracle Exadata2025年1月30日Exadata X11Mについて
- 23ai2025年1月29日【Oracle 23ai 新機能】SQL HISTORY(SQL履歴)を使ってみた
- Dbvisit Standby2025年1月23日【Dbvisit Standby】チュートリアル_AMM(アーカイブログ管理)
- Oracle Cloud2025年1月21日OCIのDataSafeについて検証してみた