はじめに
2024年12月にOracle Enterprise Manager(以下、OEM)の最新版である24aiがリリースされました。
OEMは長い間13.Xでしたが、新バージョンが24.Xになったということを知り、どのように変わったかを確認しようと思い、お試しでインストール検証を行いました。
OEM13cまでのような「c」ではなく、データベースの最新バージョンにもあるように「ai」がついています。
OEM24aiをインストールするにあたり、事前にOSとOracleのインストールおよび、リポジトリ(データベース)の作成が必要となりますが、これらの手順については今回の主旨からは外れますので、割愛させて頂きます。
本記事の執筆者の過去記事も是非ご覧くださいね。いつもホットな最新情報を執筆しています。
Exadata X11Mについて
【名称変更!】Oracle Database 23c → Oracle Database 23ai に変わりました!
OEM24aiインストール事前準備
OEMインストール前に、マニュアルに記載のOS/HW/NW等の各種要件を満たしておく必要があります。
Basic Installation Guide基本インストールガイドの[Part I Oracle Enterprise Manager Deployment Prerequisites]あたりが参考になるかと思います。
まだ、日本語版のマニュアルが提供されていないようですので、それまでの間は英語版のマニュアルをご参照ください。
リポジトリについても、OEMをインストールするための前提条件がありますので、各種パラメータやREDOログサイズの設定等を必要に応じて実施します。
※後述するOEM24aiインストール時のGUI画面[Database Prerequisite Checks]にて、これらの前提条件チェックが行われるのでチェックNGが出たら、そこで修正するでもよいかと思います。
ソフトウェア(インストーラー)は、以下のサイトでダウンロード可能です。
※商用ライセンスをお持ちのお客様のダウンロードサイトとなりますのでご注意ください。
今回の検証では、VirtualBoxを使用してLinuxサーバーの仮想マシンを作成し、Windows端末からLinux上の
GUIアプリケーションを操作するためにXmingの設定を行いましたが、手順についてはここでは割愛させて頂きます。
詳細手順については、こちらのブログ記事をご参照ください。
Xmingが起動したら、GUIの起動設定を行います。
# xhost + $ su - oracle $ export DISPLAY=<Windows端末IP>:0.0 $ echo $DISPLAY <Windows端末IP>:0.0
インストール前に、OEMインストーラーを任意のディレクトリに解凍します。
# su – oracle $ cd <任意のディレクトリ> $ unzip V1046951-01.zip $ unzip V1046952-01.zip $ unzip V1046953-01.zip $ unzip V1046954-01.zip $ unzip V1046955-01.zip
OEM24aiインストール
事前設定が完了したら oracleユーザーでrunInstallerを起動し、インストールを開始します。
$ cd <任意のディレクトリ> $ ./em24100_linux64.bin
以下のようなメッセージが表示されますが、GUI画面が出るまで数分かかります。
Launcher log file is /tmp/OraInstall2025-01-18_03-09-55AM/launcher2025-01-17_03-09-55AM.log. Extracting the installer . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . Done Checking monitor: must be configured to display at least 256 colors. Actual 16777216 Passed Checking swap space: must be greater than 512 MB. Actual 2999 MB Passed Checking if this platform requires a 64-bit JVM. Actual 64 Passed (-d64 flag is not required) Preparing to launch the Oracle Universal Installer from /tmp/OraInstall2025-01-18_03-09-55AM
※補足ですが、runInstaller実行時、/tmp配下にOEM24aiインストーラー(em24100_linux64-[1-5])をマージした容量分のディレクトリ(sfx_XXX)を作成するため、十分な空き領域がある事を確認してください。
もしくは、runInstallerの実行ディレクトリを十分な空き領域があるディレクトリ指定にしてから実行してください。
[Advanced Install]を選択し、[Next(N) >]を押下します。
OS要件チェックでエラーがあれば修正して、[Next(N) >]を押下します。
[Middleware Home Location]/[Agent Base directory]に任意のディレクトリを指定し、[Host Name]にOEMをインストールするサーバー名を指定し、[Next(N) >]を押下します。
※検証では、$ORACLE_BASE配下にMiddlewareとAgent用のディレクトリを指定しました。
追加でインストールするプラグインがあればチェックを入れ、[Next(N) >]を押下します。
※グレーアウトされているプラグインは必須のため、チェックを外すことは出来ません。
[weblogic/Node Manager]のパスワードおよび、[OMS Instance Base Location]を入力し、[Next(N) >]を押下します。
※[OMS Instance Base Location]はデフォルトで下記ディレクトリが自動設定されるので、要件が無ければこのままでよいかと思います。
リポジトリが作成されているサーバーの以下の情報を入力し、[Next(N) >]を押下します。
Database Host Name | リポジトリが作成されているサーバー名(FQDN) |
---|---|
Port | リポジトリのリスナーポート番号 |
Service/SID | リポジトリSID名 |
SYS Password | リポジトリのSYSユーザーパスワード |
※要件に応じてSSL構成が必要な場合は、チェックを入れます。
以下のエラーはインストール時の失敗例で、当時データベーステンプレートを使用してリポジトリ作成しており、要件を満たしていないために発生したエラーと考えられます。
データベーステンプレートのバージョンが19.11を使用したのですが、RUバージョンが19.23を使用してOracleインストールしたため、恐らくテンプレートのバージョンが低いことでエラーとなった可能性があります。
その後、DBCAでDBを作成後にインストールをやり直したところ、当該エラーは出なくなりました。
※エラーコードのような情報が無かったので詳細な調査が出来ておらず、あくまで推測ですのでご了承ください。
[Perform Installation using SYS user]を選択し、[Next(N) >]を押下します。
OEMインストールに対するリポジトリ要件チェックで問題があれば修正し、[Next(N) >]を押下します。
[SYSMANユーザー]、[Agent Registration]のパスワードを入力し選択し、[Next(N) >]を押下します。
※要件に応じて、リポジトリ内に作成される表領域のパスとデータファイル名を指定しますが、表領域名の指定はできません。
[Configure Oracle Software Library]にチェックを入れ、[Next(N) >]を押下します。
OEM24aiの各コンポーネントで使用されるポートを範囲内で指定し、[Next(N) >]を押下します。
インストール情報に問題が無ければ、[Install]を押下します。
インストール完了まで待ちます。
※インストールが始まって3時間以上かかっても終わらず、放置していたらGUIが終了していました。。。
[Start Oracle Management Service]が実行中となっていたところまでは確認していたのですが。
GUI画面が終了していたので、本来実行すべきallroot.shを実行します。
# cd /u01/app/oracle/middleware/oms_home # ./allroot.sh Starting to execute allroot.sh ......... Starting to execute /u01/app/oracle/middleware/oms_home/root.sh ...... Check /u01/app/oracle/middleware/oms_home/install/root_oem24_2025-01-18_17-12-56-776510914.log for the output of root script Finished product-specific root actions. /etc exist /u01/app/oracle/agent/agent_24.1.0.0.0 Finished execution of /u01/app/oracle/middleware/oms_home/root.sh ...... Starting to execute /u01/app/oracle/agent/agent_24.1.0.0.0/root.sh ...... Finished product-specific root actions. /etc exist /u01/app/oracle/agent/agent_24.1.0.0.0 Finished execution of /u01/app/oracle/agent/agent_24.1.0.0.0/root.sh ......
ログイン確認
OEM24aiをインストールしたので、ブラウザに接続して確認します。
https://<OEM24aiサーバーIP>:7803/em
[詳細へ進む]を押下し、下の画面が表示されたら[危険性を承知で続行]を押下します。
SYSMANユーザーのパスワードを入力し、[ログイン]を押下します。
※[Enterprise Manager c]になっていました。Cloud Controlの修正漏れ?
デフォルトで表示されるページ種別を選択します。
※一連のインストール手順は以上で、終了です。
まとめ
1世代前のOEM13.Xから、ネーミングがOEM24.Xになったことで、構成が大きく変わったのかと思いましたが、GUIのデザインや設定内容に若干の違いがあったこと以外、各種要件、インストール手順、OEMの構成等OEM全体としてはそれほどの変化は無いように見えました。
今回、業務で使用しているノートPC(約6年程使用)のVirtualBox上にインストールしたのですが、PCが前のスペックだったからかもしれませんが、インストールが3時間かかっても終わりませんでした。
OEM13.Xの検証をしたときは、体感的にもう少しインストールできていたような気がします。
インストールの箇所でも言及しましたが、インストールが途中で終わらなかったので放置していたら、気づいたときにはGUIの画面が終了しており、検証としては中途半端な状態で終わってしまいましたので、実際にOEM24aiを導入される際はある程度のスペックのマシンを使用して検証することをお勧めします。
また、OEM24ai自体がリリースされて間もない製品ということもあり、バグも多く含まれている可能性がありますので、ターミナルエディションでない限りサポート期間もそれほど長くは設定されていないことからも、実際にシステムとして導入を検討される場合は、もう少し様子を見てからでもよいのではないかと思いました。
最後になりますが、当社にはデータベースに関わるエンジニアが多数在籍しておりますので、
何かご不明なことやご興味を持たれたことがございましたら、お気軽に当社までお問合せ下さい。
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